里山で遊ぶ

ゆるい午後 遠回りする 帰り道
のどかな午後の時間を満喫できたらと思う。

少年時代 2

宇宙には 約2兆個の銀河系があるそうです。(゚∀゚) 
 


私は まだ小学校へ行く前の頃の話です。
兄が小学3~4年生だったと思います。
その日は 濃い群青色した夜空一面に 無数の星が瞬いていて
今にも夜空から星がこぼれ落ちてきそうでした。
その星空を指さし 兄が一生懸命 父に星座の説明をしていました。
私は訳も分からず 二人の真ん中に立って 
兄の顔と父の顔と星空を 交互に見上げていました。
兄は台所の引き戸に白いクレヨンで 小さな丸と線を書きながら
父に一生懸命 口をとがらして 星座の説明をしていました。


引き戸に白いクレヨンで書く兄を 父は怒ることなく静かに聞いていました。


兄が満天の星空を指さすと私も指さす方向を見ました。
それから 兄は引き戸に星座を書いて父に説明するのですが、
私は 父と兄の両方の顔を じーっと見上げていました。
兄を見て 星を見て 父を見て 星を見て...
短い時間だったのかもしれませんが 私には とても長く感じられました。
今でも 夜空を見上げると 当時のことが鮮明に蘇ってきます。


これが私の父です。



回転寿司に入り カウンターに一人で座ると
向かいのボックスに母、兄、妹と思われる家族が座っていました。
母親は明らかに買ったばかりと思われるピンク色のカーデガンを着ていました。
兄も新しいスーツとネクタイをしていて、直感ですが、
兄が就職して初めての給料日に母親にカーデガンをプレゼントした後、
家族みんなで この回転寿司に来たのではないかと思われました。
まだ、少しだけやんちゃな面影が残っている髪形の兄が妹に、
『何でも好きな物を食べてね。』と言ってますが、
妹はお母さんの腕を掴んだまま、キョロキョロあたりを見回して
落ち着きがありませんでした。
妹は 兄があまりにも良いお兄ちゃんに いきなり変わりすぎて
どうすればいいか 戸惑っている感じでした。
お母さんは髪を後ろで縛ってましたが、急いで家を出たのか
白髪の交じったほつれ髪が 耳のあたりに沢山ありました。
このお母さんに 眩しいピンク色のカーデガンが ちょっと不釣り合いにも見えましたが、
でも 私には とっても素晴らしい最高の贈り物だと思いました。


この家族を見て見ぬふりをして 寿司を食べ終え席を立つとき、
この家族がいつまでも幸せでありますようにと 心から願いました。


私の母は 私が学生の最後の年 就職する直前に亡くなりました。
実は 私も就職したら 最初の給料で 
母にカーデガンをプレゼントしようと思ってました。
それも ピンクのカーデガンを...
私が小さかった頃 母に連れられて 城山の桜を見に行ったことがあります。
その時に私は母と手をつなぎ 階段を登りながら ふと 母を見上げると
母はピンク色の満開の桜の中で 桜の木からこぼれ落ちる木漏れ日のなかで
優しく 私を見つめていました。
私にとって 母は ずーっと その時のままです。
母が病気が治ったら ピンクのカーデガンを着た母と一緒に歩きたかったんです。


これが私の母です。


子供の頃の記憶と共に 当時見た風景が 鮮明に蘇ってくることがあります。
夏の日差しを受ける風景が 徐々にオレンジっぽくなり、
ひんやりした風が頬をかすめて走りさる、
何だか 理由も無く 切ない気持ちになるのは 何故なんだろう...


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