里山で遊ぶ

ゆるい午後 遠回りする 帰り道
のどかな午後の時間を満喫できたらと思う。

さよなら

下宿先の近くの床屋さんのおばちゃんには 大変お世話になりました。


その床屋さんには 雨の日に傘を貸して頂いたり
実家からの電話を取り次いでくれたりしていました。
実家から床屋さんの家の電話に連絡すると、おばちゃんか子供が
『実家から電話がきたよ~。』
って私たちの棟まで呼びに来てくれてた。
当時は 携帯がない時代なので
今 思い出しても 何て親切な床屋さん家族だったんだろうと思います。
床屋さんのリビングに上がり込み そこで 実家の家族と電話をしてました。


床屋さんはおばちゃんが一人で切り盛りしていて、子供は4人いました。
男性1人、女性は3人で 特に 女性はともに美人でした。
 

長女は私と静岡が下宿先に入居する1年前に 婚約者を交通事故で亡くしたそうです。
どちらかと言えば、その当時は暗い感じで ほとんど喋ることはありませんでした。
18歳の男子から見れば、25歳で彼氏を亡くし おしとやかで影がある 
それだけでも相当の美人なのに 実際は更に黒木瞳に似ていて かなりの美人でした。
その長女に 何故か、静岡だけが気に入られていました。
何故 ブ男の静岡が・・・。
私には羨ましい限りでした。
ある日 静岡の部屋に二人でいると 窓を誰かがトントン叩きました。
『いるの~?』と女性の声がして 窓を長女が開けました。
長女は高級時計、貴金属等を販売している大きな貴金属店に勤めていて
セールのチラシの折りたたみをする短期のアルバイトの話を静岡に持ってきました。
静岡の追加要員で私は数度 そのお店でバイトをしたことがありました。
私と静岡以外は40~50歳の女性が2,3人いて 単純作業をしていましたたが、
女性は仕事中も 大変良くお喋りをされ 私と静岡の素性を根掘り葉掘り聞かれました。
私がお金が無くなるとすいとんを食べる話をしたときは、
私と同じくらいの子供を持ったおばさんが不憫に思ったのか、
白菜と自家製味噌とお米を家から持ってきて『食べてね。』と言われました。
おばさん達には 静岡ではなく私が気に入られていましたた。
これってマダムキラー…? 


次女は後回しにして 三女は私と同じ年で高校を卒業後、家で花嫁修業をし
翌年の3月に元下宿先の住人と結婚することが決まっていました。
おおらかで何事にもあっけらかんとして 長澤まさみにかなり似ている美人でした。
おばちゃん家で散髪した後『今から映画に行く。』と言うと、
『私も連れてって。』と三女の声が。
結婚前の女性なので 本当は違うけど
『”男はつらいよ”を見に行くのでダメダメ…』なんて あわててその場を後にしました。
結婚前の女性と二人で映画を見に行くなんて ちょっと...
当時 同年代の女性と喋るなんて ほとんどしたことなどなく
フレンドリーに話しかけられるので逆に これも苦手でした。
 

私はこの床屋のおばちゃんに気に入られていて(マダムキラーか?)
時々 床屋さんが散髪組合の講習を受ける時に髪形のモデルとして 
おばちゃんに連れられて講習会に行きました。
そこで髪をいじられるだけで 結構良いバイト代をもらっていました。


問題のというか 次女は 一人暮らしをしていました。
私が下宿先に入居する前、おばちゃんとかなりのバトルをして
家を出て一人でアパート暮らしをしたとの事でした。
下宿先の住人は次女については多くを語らないが、かなりのヤンキーだったらしいです。
ただ 身長は170cmくらいの細身で 初めて見るような超美人でした。
下宿先の住人は 誰もその次女に寄り付きませんでした。
多分 美人すぎて 貧乏学生は馬鹿にされると思ったから…?
次女は私が入居した年の初めくらいから 
時折 おばちゃん家に寄り付くようになってました。
おばちゃんは喜んでいましたが、何故か 次女が家に戻った時に 
おばちゃんは よく 私一人だけ呼びました。
私が初めて次女を見た時は あまりの美人なので 黙って時折 横目で見ていると、
次女は私の悪口を言い始めました。
服装、髪形、ちょっとしたしぐさに対して いちいち きつい言葉で悪口を言います。
それも若干斜に構え 上目遣いで言ってきます。
初対面なのに ひどい事を言うなと思いましたが おばちゃんが居たので我慢しました。
なぜ下宿先の住人が次女に寄り付かないか理解できました。
それから 次女が家に戻るたびに私はおばちゃんに呼ばれ 
次女に悪口を言われ続けました。
何度も続いたので適当な理由をつけて 私は行かなくなりました。 
2回目くらいから おばちゃんが私をこの次女と結び付けようとしているのが
薄々気づいていました。
多分 次女も気づいていて 私に悪口ばっかり言ってたのかもしれません。


大雨が降ってた寒い日の事です。
おばちゃん家に傘があるか聞きに行きました。
暇だったので Jデパートにコーヒーの豆を買いに行こうと思っていました。
その時にリビングに次女がいました。
久しぶりにあって ちょっと気まずかったので見てみぬふりを。
おばちゃん家に予備の傘はありませんでした。
おばちゃんが『傘はないよ。』と言いましたが、次女が
『どこ行くの?』と普通に聞いてきました。
『Jデパートにコーヒー豆を買いに行く。』と言うと
『私もJデパートに行くけど一緒に行く?』と言いました。
次女の目を見ましたが、私をバカにしている目ではなく普通の感じでした。
おばちゃんに助けを求めて見たのですが その場の雰囲気で何となく断れなくて
次女と一緒にJデパートへ行かねばならぬ羽目になりました。
雨の中を傘をさして一緒にバス停に。
バスに乗っても私はほとんど話さず黙ってましたが、次女が一方的に喋ってきます。
バスを降りてJデパートに入るときに 次女が私の腕に手を回してきました。
ハァ~ まさか ガーン… こんなことあっていいの?
私は無理です。丁重にお断りしました。
これは絶対 私をおちょくっていると思いました。
次女は軽い冗談のつもりだったのか?分かりませんが、
私は恥ずかしくて顔が真っ赤になってたと思います。


ただ今思い返すと その後の次女の態度から冗談では無かったような気がします。


センスがイマイチの服を来た貧乏学生が2歳年上の超美人を連れて 
しかも腕を組んでたら 私の中では 洒落にならないでしょう。
早く この場から逃れたい気持ちになりました。
コーヒーの豆を買うと強引に次女と別れました。
大雨の中をびしょ濡れになりながら 下宿を目指し帰りました。
 

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