里山で遊ぶ

ゆるい午後 遠回りする 帰り道
のどかな午後の時間を満喫できたらと思う。

学生時代 Ⅲ  ~ 氷の世界 ~

     
私は 小学校6年生の時の夏休みの宿題で

苔を集め 菓子箱にセロテープで張り付けて学校へ持っていきました。
回りの連中は 工作ものや昆虫採集(カブトムシや蝶まど)で、
苔収集は 多分 私だけかなと思ってましたが 

F君も 苔を持ってきてました。


えぇ~ 他にもいたーー!


苔採集は 二人だけでしたが 今 思うと 小学生にしては渋いですねぇ~♪


F君は中学生1年生の時 同じクラスになりました。
彼は野球部、私はサッカー部で あまり接点はありませんでした。
でも1年生の時の文化祭で クラスで演劇をすることになり、
F君が台本をかいて F君が私を最初の一言を言う役に選びました。
何を言ったか覚えていませんが そこそこの笑いを取ったと思います。


後で聞いた話ですが、F君が1番最初に私を選んだそうです。


F君と私は同じ高校へ進学しました。
別クラスでしたが、1年の終わりころから F君は勉強で目立つようになりました。
高校2年の夏休み後の全国模試で 

F君は とうとう 全国で総合2番になりました。
それから少し後 冬が来る前に F君を見かけることはありませんでした。
それから 三年生になった春 別のクラスでF君を見かけました。
彼は ニヤニヤ笑うだけで 誰とも会話をすることはありませんでした。
春が過ぎ 夏が近づいて来たころ 彼を見かけることはありませんでした。




高校を卒業し 大学2年の夏休みで地元に帰った時の事です。
卒業した中学校で 周囲のドブ溝の補修作業をしていました。
その前を通りかかった時 大きな松の木の日陰の方から


『やぁー!久しぶり~』との声が...


『ん??』


年老いた土木作業員5~6人が 松の木の下の日陰に座り休憩してましたが、
その中に混ざって F君が作業ズボンにランニングシャツのいで立ちで座ってました。
『元気ー!今、何してんの?』
坊主頭で 日焼けした顔、若干 笑顔でこちらを見てるが 
彼の伏し目がちの瞳を見た時 とても辛かったです。
耐えられなかったです。
何を話したのか覚えていませんが 簡単な挨拶をして別れたと思います。


今でも時々 この時の自分が『人としての最低の野郎』だと思ってます。
彼が 私に話しかけるのは とても辛かったと思います。
精一杯の気持ちを振り絞って 私に話しかけてきたんだと思います。


それなのに…


私は 簡単な挨拶で サッサと その場から逃げて帰ったんです。


綺麗ごとを言えば F君が若くして どん底に落ちていった現実を見たくない。

本心は、その時の私の気持ちは、 そんなことではありませんでした。


高校三年生の時の ニヤニヤして誰も喋らなくなり、

土木作業員となり ドブの補修作業をしているF君を 

どうしても友達として見られなかったからです。


彼は 精一杯の気持ちを振り絞って私に話しかけてるのに
私は 彼を避けるようにして逃げ帰ったのです。


彼の実家は床屋さんでしたが、その場所にはビルが建っていて
今 彼がどこにいるのか分かりません。
F君には 謝罪の気持ちしかありません。


昔の自分から この自己嫌悪から 

今 私は 少しずつ変わったように思います。



今 F君と会えたら… との思いで 日々を過ごしてます。


私は逃げません。


もう一度 F君と会いたいです…。



井上陽水 - 氷の世界(ライブ) NHKホール 2014/5/22

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