里山で遊ぶ

ゆるい午後 遠回りする 帰り道
のどかな午後の時間を満喫できたらと思う。

『ひと手間』の味

富士山の麓で生活してる人は 羨ましいなぁ~と思うことがあります。


富士山の雪解け水が 何年もかけて地下を通って濾過された湧き水、
その湧き水をたっぷり使った料理や味噌汁、
朝陽が降り注ぐ富士山を見ながら、
毎日 その朝食が食べられるんですから、
それだけで羨ましいというか ズルイというか...
なんなら 味噌だけで具の入ってない味噌汁でも
朝陽の降り注ぐ富士山を見ながら 富士山の湧き水を使った味噌汁は
充分 美味しいような気がします。
分かりませんけど...


私が住んでる街からは富士山を見ることが出来ないし
蛇口から出る水道水の味は ん... 困ったもんです。
なので 料理に関しては 私は 多くは望みません。


海さんの料理の味は 年を経る度に 徐々に変化してきました。
最近の海さんの料理法に 新しく『待つ』と『混ぜる』が追加されました。


『待つ』は文字そのままの料理法です。
スーパーの生鮮食品は 時間が遅くなると 徐々に値段が安くなります。
そうです...
『待てば』同じ金額で ワンランクあわよくばツーランク上の物がゲット出来ます。
『待てば』味が 良くなるんですよね!


『混ぜる』も文字そのままの料理法です。
ほぼ 全ての料理にシメジが入ってます。
煮物、汁物などは分かりますが カレーやシチューなどにも
全てにシメジが入っていて 辞めて欲しいんですが
このことを海さんに言ったら 多分ですけど、
シメジを入れるのを辞めるだけでなく 料理をすることを全部辞めると思われます。
しかも 突然に...
意地悪でしょう・・・
料理のカサアゲか 彩りか何かで入れてると思いますが、
余計なことはしない方が 私は好みなんですけど。


料理のカサアゲと言えば 大根の短冊切りを味噌汁に大量投入されます。
見た目は イメージとしては 大根の短冊切りの味噌味のお浸しみたいです。
味噌汁のお椀の中央に 大根の短冊で盛り上がった山があるんです。
私は カサアゲはしなくてもというか しないで欲しいです。
味噌汁に見えません...
大根の短冊が嫌だと思い込んでいるので 苦痛なんです。
普通が良いです、大根の短冊切りで盛り上がった山よりは
まだ 具が何にも入ってない味噌汁の方がマシです。
ただ これを言うと 突然 何もかも料理を造ってくれなくなると思われるので
私は ひたすら黙って 耐えています。


若かりし頃の海さんは こうではありませんでした。
学生時代に外国人の先生の家に遊びに行った時に出されて
海さんが美味しかった料理といって
朝食に よく 我が家の食卓に出たものがあります。
海さんが今日はバイトでいないので 何十年か振りに昼食に食べてみようと思いました。


準備するものは 食パン、卵、コップ、塩、胡椒、バター、フライパンです。 

食パンの中央を コップで丸くくり抜きます。 

フライパンに少々のバターを投入し 弱火で暖めます。 

卵をくり抜いた場所に 少々のバターを追加した後 投入します。 

くり抜いた食パンをかぶせます。 

100均で買ってきた蓋をします。 

焼け上がったら 食パンをひっくり返します。 

更に 盛り付けて出来上がりです。 

海さんは 高校1年の時に 母親を亡くしていて ほとんど家庭料理を知りません。
その海さんが 若かりし頃 朝食にと造ってくれました。


台所で ジーッとパンが焼けるのを待ってる海さんの後ろ姿は
今思うと 富士山と同じぐらいの光景だったような気がします。
特段 味付けがどうのこうのでは無く、
ちょっとした『ひと手間』の味が そこには あったように思います。


 

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