里山で遊ぶ

ゆるい午後 遠回りする 帰り道
のどかな午後の時間を満喫できたらと思う。

カラス

私が親元から離れ 始めての下宿生活をした時の話です。
当時の私は 極度のシャイで また 全てにコンプレックスを持っていました。
新しく下宿する新1年生は 私と もう1人の2名だけでした。


私は18歳まで日本海側の平野で生まれ育ってきました。
当時 太平洋側の 特に千葉から和歌山までの間で生まれ育った人物に 
強いコンプレックスを持っていました。
今思えば馬鹿げていますが 太平洋側は海の幸、山の幸が豊富で 
みんな裕福な家なんだろうと勝手に想像し 
特に静岡県は富士山はあるし みかんも獲れるので日本で1番 裕福だと思っていました。

嫌な予感は的中し もう一人の新1年生は静岡からきた奴でした。
彼と始めて会った時の服装は 赤のチェック(チェッカーズが着ていそうな柄)
のシャツに白い綿パン姿でした。
体型的に お世辞にも似合ってるとは思えなかったのですが 
そのような服装を 平気で着れる あっけらかんとしたその神経が 
私には とてもは羨ましかったんです。
裕福な静岡県では 別に気にすることもなく自然の事なんでしょうけど… と。


下宿に引っ越した最初の頃は 郵便書留めで仕送りを送ってもらってました。
たまたま金曜日に不在で 現金書留を受け取ることが出来ませんでした。
金曜日に現金書留を受け取ることが出来なくて 
無一文のまま 金曜日の夜から月曜日の朝まで
過ごさねばならなかった時の話です。


私はシャイで引っ越したばかりだし 人に『お金を貸してほしい』と言えません。
お腹が空いてきて我慢していましたが もう限界と思ってた時です。
生きた心地がしません。
思い切って 新1年生の静岡からきてる奴に 限界になり事情を説明したところ 
快く お金を貸してくれました。また、
『お茶漬けでよかったら 俺の部屋に来なよ!』
と言ってくれました。
お金のない心細さで不安いっぱいだったので 助かったぁ~と思いました。


彼の部屋に行くと 彼はどんぶりに山盛りにご飯を盛って 
お茶漬けを出してくれた。
そのお茶漬けですが…、始めて見ました。
山盛りのご飯に お茶をかけただけのものでした。
何ものってません…
親元で生活してた時は 最低でも 塩っぱいものが乗ってたんですが...
何ものっていないお茶漬けなんて
見たことも 食べたことも ありませんでした。
彼も一緒に食べたのですが、私は途中で ちょっと全部食べるの無理かも…
と、何度かギブアップしそうになりましたが、最後まで我慢で食べました。


その時でした…


私の固い殻が 食べている途中に ミシッミシッと割れる音が聞こえました。


静岡だって 特に 金持ちじゃねえな!
静岡はお茶が有名だから お茶だけのお茶漬けがありなのか分かりませんが
ん...  だって お茶をかけただけのお茶漬けを食べてるんだから...
な~んだ静岡 同じじゃねえか~静岡 どうしたんだ静岡…
この1件で 何でも気安く付き合えるようになりました。

自分が造った根拠のない殻って 割れる時は簡単に割れるんですね… 
音を立てて!
 

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